クラブレッドの中のフロアを遮って




鉄の階段を上がる。




ハアハア。



大きな自分の呼吸音が耳元で聞こえる。




「え。優香さん?」




ゆうじくんのびっくり顔。




ソファに座る翔輝の肩に




もたれるように座る



女の子。




気怠そうに座っていた



翔輝と目があう。




握りしめていたハンドバックが




優香の手から離れた。




「…か。



…ばか」




「翔輝のばかっ」



優香が言った。



「は?



今こいつなんて言った?」




そう、殺気だった周りを



翔輝が軽く上げた右手が黙らせる。




絡みついてたオンナの子をはがして




ソファから立ち上がる翔輝。




ばか。




ばか。



なお、心の中で言う優香に



翔輝が近づく




目前に翔輝。



「…ばか」




そう言う優香に



「うん」



翔輝が言う。




「何で…」



言葉と、一緒に優香の目から



涙が落ちる。




「うん」



翔輝の手が優香の頭に触れる





ほんとにばかだよ。




何で、何で




わたしみたいなオンナ



…こんなに




好きになってくれるなんて




「翔輝」



「うん」



翔輝の腕が優香を抱きすくめる。





「わたし



あなたが好き」