急に立ち止まる優香
どうした?っていう風に
一緒に立ち止まる
三島。
ばっ。
優香が左手を上げて
後ろを指差す。
「あれ」
下を向いたまま優香が言った。
「え?」
訳がわからない三島
「あれ」
また、同じ言葉だけ発する優香。
「あれが、さっき言ってた
わたしの好きなひと」
「え、え?」
三島が、優香と優香の指さした方向を
何度もみる。
「好きなひとがいるから
おれとはつき合えないって
言ってた…?」
三島が確かめるように尋ねる。
こくん、こくんと首を揺らす優香。
「え、あれって。え?
どれ?
え、まさか、あの女の子引き連れていた
どえらいイケメンの金髪?!」
こくん。優香が、首を揺らす。
「あの、えらそうな金髪!」
優香が言う。
…
…。
絶句していた三島が
口を開いた。
「ほんとは、ほんとはさ。
言いたいよ、言うべきかと思うよ。
あれは、やめとけって。
ぜったい俺の方が、しっかり?
現実的?
とにかく安全?
わかん無いけど。
そんな感じじゃん?」
ああーっ。って苦悩したように間隔あけて
三島が続ける。
「けどさ、ほら
お前って結構慎重なやつなのに
着実って言うか。地に足ついてるっつーか」
「なのに
そのお前がさ。
そんな顔して…
ずっと、そんな
心許ない顔して…
結構、長いつきあいなのに、
お前のそんな顔
初めてみたよ」
「その顔見たら…
何か、何も言えないよ。
…わかってて、
止められないくらい
好きなんだな」
三島の声。



