あの日からずっと
翔輝さんが好きだったのに…
何よあの女。
今まで、翔輝さんは遊んでたけど
特に付き合ったりとか無くて
誰にも本気になんか
ならなかったのに
あの女の何がそんないいの?
偽善者のムカつくいい子ちゃんじゃん。
あんだけボロクソ言ったのに
最後にはアタシのこと、かばったりして
言いたいこと、ちゃんと言えて
自分をちゃんと持ってる…
大人で
優しい女じゃん…
もう、嫌んなる…
お酒をもうひとくち
レミが飲んだとき
「ガキがやけ酒なんて
生意気なんだよ」
レミが振り返ると
ちょうどお酒を取りにきた
那智が立ってた。
レミは那智が苦手だ。
「翔輝に相手にされてねぇことくらい
わかってたろうが」
ほんと、意地悪ー。
きついことズバズバ言うし。
優しい翔輝さんと全然違う!
那智さんは…
レミが、全然相手にされてないのに
妹みたいなポジションを利用して、
ずっと翔輝さんに甘えてた
レミのずるさ
見抜いてた。
そんなレミのこと
バカなやつだって思ってる。
きっと那智さんも、レミのこと
嫌いなんだ。
レミは飲みすぎてた。
「…っるさい。
あんたに、
あんたには関係ないっ」
腕があたって、横のグラスが倒れて
割れた。
「ちょ、ちょっと、レミっ
すいません。那智さんっ。
この子飲みすぎで」
慌てる美弥の声。
もう、どうでもいい。
翔輝さんに嫌われて
翔輝さんの好きな女にかばってもらって
それで、許してもらえたなんて
あたしのプライド
ズタズタだよ。
あたしにプライドなんてあったらの
話だけど。
那智が笑って言った。
「適当にそこらの男に
なぐさめてもらえば?」
レミのグラスを持つ手が振られた。
バシャっ。
那智のシャツが酒でびしょ濡れになる。
「キャッ」
周りで悲鳴が上がる。
「レミっ。
なにやってんの!」
美弥が叫ぶ。
那智が言った
「お前…
殺すぞ」
すっごい…こわいっ。
…一晩で
翔輝さんと那智さん、2人から
殺すぞ
なんて言われたのはきっと
わたしだけだよ。
もう。
サイアク…
レミは
「うーっっ。
う、わあああん。
わあああん」
そう子供みたいに声を上げて泣いた。
関を切ったみたいに
レミの涙はこぼれた。
後ろで
「勝手に泣いてろ」
那智さんの冷たい言葉。



