「んっ」



逃げれないように



拒むの許さないみたいに



翔輝の腕に



翔輝に



閉じ込められてキス



される。



優香はいつも



この翔輝の思いをぶつけるようなキスに




呑み込まれてしまいそうになる。




いつも



ギリギリのところで



踏みとどまっているような



奪われそうになるキス。




ハア。



やっと解放されて



優香が言う。



「…ずるくない?」



「しょうがねぇじゃん。」



文句言う優香のくちびるに



翔輝が名残惜しそうに視線を落とす。




やだ、そんな風に



見ないで。



胸が



へんな感じになるじゃん。




「これでもすっごい我慢してんだよ。





ほんとはこのまま




うちに連れて帰りたいのによ」





そんなこと



言わないでよ。




翔輝の飢えたような瞳に見つめられて




甘い言葉で



攻められて




動けなくなりそう。








優香は翔輝から視線を外して




やっとのことで



言葉を絞りだす。




「…ダメ。



帰らなきゃ」




「…送る」



翔輝が言った。



翔輝を背に路地を出ようとした優香は



思う。



ここで、無理強いするような男なら、




いいだろ。いいだろ。みたいな




男なら




もっと、簡単に嫌いになれるのに…




「あ、大丈夫。



ゆうじくんが送ってくれるから」




思い出して優香が言った。




「?



そういえば、何でお前ここにいたの?」




翔輝が優香の肩に手をかける。



あれ。



言っても良かったよね?





え。内緒にしてた方が良かった?




いや、別にやましいことは




全くないし。




「や、なんか。ただ、



この前、ケガしてたときに



わたしが手当てしたから




それで…




お礼?って」






「全然聞いてねえけど




ゆうじと来たの?」




ええー。言ったらまずかった?




でも、別に…やましいことは…




翔輝が後ろから優香の顔を覗き込むように



見て




「お前ら何気に



仲良いな」




ちょっと拗ねたような言い方。



もしかして…翔輝、



ヤキモチとか?



「仲良いっていうか、別に。




たんに、ゆうじくん、”オカン”的に




思ってそうだし」



ゆうじが怒られたら大変だと



思って



慌てる優香に



翔輝が笑って言った。




「何だそれ。




お前が魅了するのは、俺だけで




充分だって」