「はい。お疲れー
かんぱーい。」
居酒屋でビールを高くあげる。
今日は、大学のときからの親友
美香ちゃんと
同じく大学の同級生で
今の会社でも同期の三島と
夕食プラス飲み会。
珍しいメンツ。
いや。
一緒に飲んだことは何度もあるけど、
このメンバーだけでって珍しい。
美香ちゃんは
大手化粧品メーカーの商品企画部で
マーケティング等を手掛けている。
流行に敏感で、持ち前のセンスがあって
もう、リーダーを任されてる!
ほんと、すごい!
しかも。それだけでなく
とにかく、キレイ。華やかで
大学生のときから、〝うちの大学のマドンナ″
なんて、言われるような美貌の持ち主。
そのうえ、性格もいいんだよね。
三島はうちの開発事業部で
エースだって、言われてる。
三島はほんと、さわやか。って感じかな。
この年になっても、スポーツマン!
気質で
短髪黒髪で、ちょいマッチョ。
たぶん、同期の中で1番の出世頭。
腰が軽くて、バイタリティに溢れてて
エースなだけあって
忙しいみたいで
社外を飛び回ってて
最近じゃあまり絡むことなかったのに。
珍しいな。
まあ、三島も長い付き合いだから
何でも言える
いい友だち。
…何かほんと、2人して…正統な美男美女。
こんな2人を目前に
お酒飲むって、目の保養?贅沢だわ。
お似合いじゃない?この2人。
お互いどうなんだろう。
「そこを、引くからだめなんだろ。
変に遠慮するなよ。
お前そんなとこあるよな。慎重にいこうとする
っていうか。」
何でか、わたしは三島に説教されてるし。
「まあ、もう仕事の話はいいじゃん。
三島ぁ。あいかわらず熱いな」
美香ちゃんが笑っていなす。
何か絵になるんですけど。
2人して
仕事も恋愛も…
何ていうか…上手そう?
絶対わたしとは違うな。
なんて、卑屈なこと思ってたら
話の流れで、美香ちゃんが
地雷にジャンプしてきた。
「優香ってば、別れたばっかりなのよー。
三島、なぐさめなさいよ」
ええー。今言う?
美香ちゃん、もう酔った?
「こらっ。しっ」
黙ってポーズを優香がするけど。
「おお。らしいじゃん」って三島。
知ってるんかい。
美香ちゃーん?相手が既婚者だったなんて
とこまで言ってないでしょうねぇ。
って、目配せを美香ちゃんに送る。
『大丈夫』って目配せが帰ってくる。
「…元気かよ」って三島が言った。
言葉に迷って
そんな気まずそうに言わないでよ。
「わたしは全然大丈夫よー。
元気、元気。」
「もう、完全立ち直ってるし」
優香は空気変えるように言った。
「三島は?
ほら、あの彼女とはどうなの?」
三島が何だろ、慌てたような顔した。
あ、もしかして美香ちゃんの前で言ったから?
「何だよお前。
いつの話してんだよ。
彼女なんかだいぶ前からいねえよ。」
そう怒ってるみたいに言った。
「お前、そんなおれに興味ないの?」
優香が慌てて言う。
「そんなことないし。
そうだっけ?だいぶ前だったー?
あはは。
じゃあ、今フリーなんだ」
内心優香は
そうだったっけ?だいぶ前だっけ?
覚えてないかも。はは。
「美香ちゃんも、今フリーだよね?」
年上の彼氏と別れてから、2ヶ月?
あいかわらずモテてはいるけど。
「え?ああ、うん。そだね」
慌てたように、美香ちゃんが答えた。
何だろ、今、こっち見て
ニヤニヤしてた?美香ちゃん。
まさかの美香ちゃんも、三島を…?
これは、わたしが押すべきなのかしら
「2人ともフリーじゃん。
いいね!タイミング」
優香が言うと
「お前もなっ!」
って2人に突っ込まれた。
やっぱり、2人気が合ってるじゃん。
美香ちゃんはなぜか、呆れ顔。



