だだっぴろい室内。



何畳のリビング?



リビングなの?



しきりはフロアにあるけど



続き部屋になっていて、



奥にベッドが見える。



濃いい焦げ茶色の木目のフローリングと



コンクリートみたいに灰色がかった色な壁



色味も少なくて



ものが無くて、



すごく、ガランとしている。



あるのは、



ベッドとソファとテーブルくらい?



優香は窓から外を眺めている。



正確には、眺めているフリ。



そりゃ、緊張もするよね?



ここで二人っきりって。



翔輝はドサって、



ソファに腰かけている。



どうしよ。



ちら。



翔輝の方を見る。



ドキ。



目が合う。




ていうか、翔輝



めっちゃこっち見てるし。



凝視してくるし。



やめてー




もう視線を離せない優香は




翔輝と見つめあったまま。




そりゃ、どきどきするよー。



翔輝がポンポン。



ソファを叩く。



横に来いってことよね。



うう。



翔輝の横に座る。



「ごほうびは?」



翔輝が目を覗き込んでくるから



ドキドキしてしまう。




目の前にはごほうび待ちの




キレイなオトコノコ。



ああ、このままじゃ



やばい。



流されてしまいそう。



ギシ



って肉食な翔輝が



ごほうびもらおうと距離を縮めてくる。



逃げ道もくれない。



強引なオトコ。



だめ。そんな目で



色っぽくせまらないで



ううーっ。



「…ごはん!」



優香が言った。



「ん?」



きょとんとする翔輝。



「お腹すいてない?


ご飯作るよ!



ごほうび。ね」



スッて。 


優香は立ち上がる。



危なかったー。



翔輝は、優香がいなくなったソファの



背もたれに肘をついて



すねたような顔して見つめてる。




「何が食べたい?」




優香はそんな翔輝に



気付いてないフリで、明るく言ってみる。




「約束って、



ぜったい?」




すねて子どもみたいな翔輝が聞いてくる。



「え。







絶対!!」



「マジかー」



ソファに転がる翔輝。



破る気まんまんだったな。こんにゃろ。




「マジで作んの?」



気持ちを立て直したらしい翔輝が言うから



「うん。材料買ってくるね。何がいい?」



優香が言うと、



「なら、車呼ぶ」



翔輝が携帯を取ろうとするから



え。わざわざゆうじくん呼ぶつもり?




「自分で行くよ。



歩いて



スーパー近くにあったし、大丈夫」



急いで優香が言う。




「は?



なら、俺が連れてく」



翔輝が車の、カギを持った。