日曜日の夜。




気づけば



たいして何もしない週末を、浪費してしまった。



何か食欲もそうないけど…



何か…作ろうかなー。




ソファでグダーってなって



そんなこと思ってたら、




チャイムが鳴った。



ドキ



うそ。



翔輝?




正直、



一人暮らししていて



チャイムが鳴ることなんて




宅配以外、そうない。



玄関に向かう



優香の心臓はうるさい。



何、いそいそ向かってるの




そう自分に突っ込みながら



ドアノブをまわす。



「え」



目の前にいたのは



岸田さん。



「…何、してるんですか?」



「電話に出てくれないから」



ちょっと責めるような表情の岸田さん。



私ってバカ。



ほんとばか。



翔輝だと思った。



確認もしないで、



ドア開けて





何で?



どうして?



どういうつもりで来たりするの?



着信拒否するよ。



嘘ついて、奥さんがいるのに



私と付き合っていた人なんて



あんなに




あんなに




わたしを傷つけたひとなんて




「困ります。帰ってください」



「お願いだよ。話だけでも聞いてよ」



岸田さんが、身を乗り出して入ってくる。



「ちょっと、困ります!」



いやだ。どうしよう。



もう玄関の内側に入っている岸田さん。



岸田さんが後ろ手にドアを閉める。



「話すことなんて…」



岸田さんの近い距離感に押されて、



優香は後ろに下がる。




わたし、多分 





今、ピンチだよね。