夜。


お風呂上りに



何気なしにのぞいたカーテンから



家の前のガードレールに腰かけて、



座っている男の子が見える。



ドキ。




翔輝。



心臓がビックリする。




時計は22時を回っている。



何やってるの。



閑散とした裏通りの道に、



ポツンポツンとまばらな街灯の



頼りない明かりの中。



フード姿で、うつむきがちに



座っている翔輝。



まるで、待ちぼうけの子供みたい。



カーテンを持つ手に力が入るけど…



ダメだ。



ダメ。



見なかったことにしよう。



私、多分



ていうか、間違いなく



…自分で思っているより



チョロい。



こんなこと続けてたら、



やばい…



数回会っただけなのに



ふとした瞬間、



会社でも、



お風呂に入っているときでも



翔輝を



翔輝の香りを



翔輝とキスした記憶に



襲われて…



記憶に侵食される日常




だめだよ。



私には関係ないんだから。




優香は窓際を離れた。



知らない。



関係ないんだから。




わたしには



関係のない…。