
そろそろクラブDのでかいイベントがある。
警護の仕事が入るから
人数を揃えるよう
ゆうりたちに、ひとこと言っとかないとな。
そんなことを考えながら
那智はノートパソコンを閉じた。
襟足まで長さのある、黒髪で
長めのオールバック。
色白で切れ長の瞳。
スッキリとしたタイトなブラックのスーツ姿
今はスーツに隠れているけど
両腕には、手首から登っていく
火炎龍のタトウがびっしり入っている。
ここはクラブレッドの地下。
ブラッドアイズドラゴン。
略してブラアイの事務所兼仕事場だ。
こんな地下もフロアの音楽は漏れ聞こえてくる。
タバコのケムリをはいて
那智は目を細めた。
かかる音楽だけでなく、この店も変わったな。
翔輝と那智は中坊の頃から
この店に出入りしていて
ずっと、ここが俺たちの遊び場だった。
ただ、ケンカして
笑って
酒飲んで、女とやって
ケンカして
何も考えなくていい
刹那でも気楽な
そんな毎日だった。
それが今じゃ、翔輝はブラアイの
三代目で
その資金管理は
那智の仕事だ。
もともとブラアイは昔のこの店の名前で
初代の兄貴分がやっていたお店に
たむろしていた奴らが
ブラアイのだれそれと
呼ばれだしたのが始まりで
群れることを好まなかった初代も
その仲間内でトラブルがあれば
けつを持っていたため
いつのまにか、カラーギャングとして
認知されるようになった。
翔輝は
やはり群れることも、
チーム率いるとか
めんどくせーって
性格だから
一度は断ったが、
2代目からの頼みでは断れず
3代目を数年前、襲名した。
カラーギャングとは言っても
今のブラアイに、そんな危ないことはない。
ここら一帯は早い段階で締めてしまったし
汚い仕事してまで、
これ以上チームを大きくする気も
肝心の翔輝に
無いから
たいていの資金源となる
薬も女も、詐欺の受け子なんて仕事も
ブラアイは受けない。
主なブラアイの仕事は
クラブでのパーティーや
イベントの警護で、
まぁ、用心棒みたいなもんだな。
まあ、うちは
もめごとひとつ、起こさせず
完璧に敢行するから高給だけどな。
(おれが金のためにチームを
それぞれ部門作って、細分化して
管理させたからシステムはバッチリ)
まあ、そんなんで
この街で、1番の勢力を保っていられるのは
初代が最大勢力をもつ広域暴力団
青龍会の若頭で
ブラアイに干渉せず
距離を保ってくれているから。
それと
もうひとつは…。



