さよならが言えなくなるその前に




優香の家の前。



ゆうじが



「何か…」



って、包帯していないほうの腕で、



頭かいて



ペコって、頭下げる。



「ううん。



大丈夫?



痛み止め効いてきた?



まだ、痛むよね?」



優香が腕を指して言う。



コクン。ってゆうじが首で答える。



「…送ってくれてありがとうね」



ほんとは、ケンカなんかもう



しちゃダメだよ。なんて



言いかけてしまった。



私ってば、おせっかい?



母性が出ちゃった?



オカン?



だってなんか、ほっとけなかったよ。



若いクセに



諦めているような態度に



自分を大事にしない感じに



何か…



むかついたんだよね。



そう思っている優香に




「何か、親みたいっすね」



って、言うゆうじ。




やっぱりオカンかい。



そう言えば、大学生のときの彼氏にも



「おれの母親にでもなったつもりかよ」




言われたことあったっけ…。




おせっかい焼きすぎて…



なんて、黒歴史が頭にもたげる。



帰ろうとする優香に



ゆうじが



「あの、店でも



その。



ほんと、









あざっす」



って、もじもじ。



小声。




なんだろ。




照れ屋?



ありがとうって言うの



苦手?



というより、何だか嬉しそう?



なんか、




かわいいじゃん。




帰りかけるゆうじに




優香が声をかけた。




「ね。ゆうじくんたちって…




その、ゆうじくんたちのチーム名?



とかって…」



あったりするのかな…



やっぱり、そういうひとたちなのかな…




いや、案外仲良い友だちで



集まってるだけかも…



そんな優香の希望的観測をよそに



ゆうじが何でもないかのように言った。



「ブラアイ。


ブラックアイズドラゴン」