あの、
翔輝のムスクの香りがした。
そう思ったときには
軽く上向かされて、
翔輝の唇が
私をかすめとる。
ん。
びっくりする私に
んん。
キスは深まって
強引な舌が奪うように、
キスを続ける。
腰に回された腕に
身体預けそうになるくらい
奪おうとするから…
もうそのくちびるに逆らうチカラ
なんて
出なくって
「はあ」って
吐息がもれるほどの
キスしたあと。
…な、何?
呆然とするわたし。
翔輝の腕は私を捉えたまま。
ビックリしたような顔のまま
翔輝を見つめる優香に
「ごほうび」
翔輝が言う。
「ごほうび?」
聞き返す優香。
?
何のこと?
キスの余韻のせいで、
ぼーっとした頭で思う。
朝まで慰めてくれたこと?
翔輝が言った。
「一晩中一緒にいて、
手出さなかった」
そっちかい。



