…見つかってるし。



翔輝と階段に



閉じ込められたみたいになってるし。



無言の翔輝。



このひと。



ほんと、感情が読み取りにくい。



そのうえ、やっぱりジッと




瞳を見る。



やめてほしい。




私を見るその目に




翔輝の瞳に



音さえ消える。




「帰る」



やっとそれだけ言う私に



軽くうなずいて、



「送らせる」




そう言って、



振り返って誰かを手で呼ぶから




「いや、いいです。



自分で帰れる」




慌てて言う私に



「だめ」



は? 何言ってんの?的な



受け付けない態度。



ええー。



いいんですけど。



すぐに、あのゆうじって子が来て



「車まわしてます」



って、翔輝に告げる。



ここはもう、お願いするしかないよね



「あの、じゃあ。



…すいません」



そう言って、翔輝に別れを告げて。



多分、もう会うこともないと思う




翔輝を後に、



足早に立ち去ろうとする私に。



ぽつり。



翔輝が言葉を口にする。




「忘れもの」






グイ。




翔輝に腕をとられる。





軽々と物みたいに、運ばれて



え。って思った時には




翔輝の腕の中。