腰かけている俯いた長身の男の子。




深くかぶったフードから、



少しだけ顔をのぞかせて、



メンバーからのラインに返事を打っていた。




「いいじゃん。飲みでも行きましょうよ」



へたくそなツレのナンパの声に



なんとなく顔を上げる。



マコトか。



金髪のオールバックで



派手なゴールドの上下のセットアップ。



肩から腕までタトウの入った後輩のマコトが




しきりに女のひとを、足止めしている。



「お姉さん。かわいくない。



マジタイプ。



おれ恋しちゃったかも。




マジで、マジで。



え、ダメ?



なら、ラインだけでも教えてよ」




すげえ嫌がってんじゃん。



相手の子。



相手のシラケた雰囲気も読めず、



攻め続けるマコト。



「おれ本気だよ。



すっげータイプだもん。



名前教えて!名前。



マジでー。


困った顔もかわいいんですけどー



そんなかわいい顔されたら



愛しちゃうって」




軽はずみな羅列でしかない、



そんな言葉をマコトが並べたてたとき



普通のOLで、



あんまりひつこくすると、



泣くんじゃねえ。



そんな風に見えた女の子が



隠すように伏せていた顔を



上げた。