「お前が連れてきたの?」
そうゆうじくんに言った翔輝の声は静かで、
普通だったのに。
パキン。って
音が聞こえそうなほど
空気が張りつめた気がした。
耳にこもった重低音が
目立って聞こえる気がする。
えーっと。このひとが呼んだわけではなく、
この子たちが勝手に
連れてきたってことかな?
ユウジくんは顔が真っ青。
敏感に、その空気を感じたであろう
室内が、少しづつ静かになりつつある。
その恐ろしいほど変わっていく空気感に
「私が言ったの!
連れて行ってって」
耐えられなかった優香は、思わず
大きな声を出していた。
「無理やり!」
「ほら。
ちゃんとお礼できてなくて、
スッキリしなくって」
苦しい。
苦しい言い訳。
でも、
無表情だった翔輝が
ふん。
ちょっと気が抜けたような顔して
ソファを、ポン。
自分の隣をポン。
叩く。
来いってことだよね。
はー。
止めていた息が ため息で出た。
隣にいたゆうじって子が
ペコって。
小さくありがとうって
言うみたいに私におじぎする。
ペコ。
じゃないよー。
かかわらないで。
そう言うつもりが、
かばってしまった。
もー。だって、怖かった。
耐えられない空気だった。
多分、このひとも
わかっているんだろうけど、
こんな下手な言い訳。
でも、私がそういうからには、
怒れないもんね?
翔輝の横に腰をおろすと
「何か飲む?」
こっちを見る翔輝
やっぱりイケメンですね。
その目。
吸い込まれそうですけど
いやいや、しっかりしろ自分。
あれ。
遠目では気づかなかったけど、目の上。
傷がある?
この前は無かったよね?
よく見たら、他のひとも
チラホラ。
傷あるひといる。生傷。できたての傷ですな。
座るときに
「いたた」って、腰押さえてるひとも
会ってから…
この二日間にけんかですか?
やだー。
やっぱり早く帰りたい!
何か言おうと思った私だったけど。
ジ。
翔輝が立てた左膝に乗せた腕に
顎をのせて
私を見てる。
ドキ。
って思わず反応する心臓。
何?
「顔見れると思わなかったから」
?
?
いや、だから。
なんのつもり?
とりあえず…
ナンパされたとき、
暴言はいたこと、謝ればいいの?
それが原因で、怒ってたりするの?
慰めてくれたことお礼すればいいの?
何なの?
なんのつもりなの?





