「でも、本当は……この話はデザートバイキングにだいだいを使おうと決めてから知った話なんです。だけどこの話を知ったときに、皆様をおもてなしするのに、これ以上のものはないと確信が持てました」
「確信……?」
「はい。今回のおもてなしでは薙光様を初めとした皆様が、この先も代々受け継がれ、貴重な歴史を紡いでいけるように……という願いを込めさせていただきました」
そう言うと花は真っすぐに、薙光を見据える。
「私たちの知らない過去を生きてきた薙光様を初めとする付喪神様たちのおかげで、私たち人は、"便利な今"を生きることができるんです」
「──っ、」
「そして、そんな付喪神様たちが今の時代を幸せに生きる手助けをするためにあるのが、きっとここ、極楽湯屋つくもなんだと思います」
そこまで言った花の頬を、ふわりと優しい風が撫でた。
花の後ろに立っていたぽん太に黒桜、ちょう助……そして八雲は、薙光を前に堂々と立つ花の背中を見つめながら、穏やかな笑みを浮かべる。
「日頃の疲れをここで癒やしたみなさんが、また現世でのお勤めに励めるように……。私たちはこれからも、みなさんを最高のおもてなしでお迎えしていきたいと思っています。だから、今回のだいだいを使ったデザートバイキングは、薙光様たちにこそ食べていただきたい、我々つくも一同が心を尽くした最高のおもてなしであると、自信を持って断言できます!」
花はそう言うと、大輪の花が開いたような笑顔を見せた。
その花の言葉と笑顔に、薙光は面食らった表情をしたが、すぐに「そうか……」と呟き、とても穏やかに目を細める。



