「……っ、」
すると次の瞬間、サク……という優しい音が、鼓膜を揺らす。
「これは──っ!」
マカロンを口にした薙光は、あまりの美味しさに思わずといった様子で声を上げた。
だいだいのマカロンは口に入れた瞬間、生地が舌の上で溶けてしまうのだ。
そして後を追うように、だいだい入りチョコレートガナッシュのほろ苦い甘さが口いっぱいに広がって、味の変化を楽しませてくれる。
ただ甘いだけでなく、ガナッシュの風味が加わることで品の良い一品へと仕上がっていた。
柑橘系特有の爽やかな香りも、嗅覚を楽しませる。
口溶けのよいマカロンは、だいだいの甘さと酸味が絶妙にマッチした一品だった。
「これは本当に……疲れまで溶けていくような、不思議な力のある菓子だ」
マカロンを絶賛した薙光の言葉に、花は思わず満面の笑みを浮かべて料理の数々を振り返る。



