「あ、薙光殿、いらっしゃったのですね!」
「すごいですよ! このように美しく楽しげな料理の数々を見るのは、我々も初めてです!」
宴会場の入口で呆然と立ち竦む薙光に、一足先に宴会場を訪れていた仲間たちが声を掛けた。
「さぁ早く、薙光殿も食べましょう!」
「こんなにあっては、どれから食べるか迷ってしまいますが……!」
「本当に、このように心が弾むのはいつぶりかわかりません! その上、気に入ったものがあれば美術館の面々たちへの手土産として、改めて包装したのち、持ち帰り用を用意してくれると言うことですからいたれりつくせりでございますよ!」
キラキラと目を輝かせる名刀たちはそう言うと、それぞれに喜びの笑みを浮かべて皿を持った。
まるで子供のような、はしゃぎぶりだ。
けれど彼らのその様子を見ていた薙光は、しばらく言葉を失くして固まっていたが、不意に肩の力を抜くと息をこぼすように破顔した。
「……ふっ、なかなかに幸せそうだな。その上、ここで食べて気に入ったものを美術館の面々への土産にできるとは、恐れ入った」
それは、花が出したアイデアのひとつだった。
八雲と大楠神社に出かけた際に、つくもの面々に土産を買うか買わないかで迷ったことから思いついたことだった。



