「予知を視たけれど、大丈夫」

「それは幸せな予知?」

「わからないの。林と、教会のような建物が見えただけで」

「教会? 城の礼拝堂ではなく?」

「違うわ。ファサードにダイヤの形に似たステンドグラスがはめ込まれていたから」

 思い出しつつ視た景色を説明するメアリに、ユリウスが「ダイヤの形か……」と零す。
 しかし、ユリウスの記憶に思い当たる景色はなく、王都ではない可能性もあるかもしれないと話した。
 だが、ユリウスも王都に建つ全ての教会の形状に詳しいわけではない。

「あとでセオたちにも聞いてみよう。俺も、街を歩いていて見つけたら知らせるよ」

「ええ、ありがとう」

 微笑むメアリを見つめるユリウスは、その血色のいい頬に触れた。

「昨夜はあんなことがあったから、眠れてないんじゃないかって心配していたんだ」

 ユリウスの瞳が気遣うように細められ、「大丈夫よ」と答えたメアリは、昨夜のことを思い出す。