「悲しくねぇのかよ!ヘラヘラしやがって!」
「…」
「なんか言えよ!」
俺は奏悟の手を離させると、食器を片付けながら、
「悲しいよ。悲しくないわけない…でもな、今の家は母さんが望んでる家じゃない。」
「なんだよ、それ…」
「母さんはこんな家族は望んでねぇんだよ。じゃあどうする?俺が母さんの望む事をするしかなんだよ!」
「なんだよそれ!なんなんだよ!母さんが望んでる?兄貴には死んだ人間の気持ちが分かんのかよ!」
「そんなの分かるわけないだろ。」
「じゃあ!」
「でもな、一度だけ病院で母さんは俺に言ったんだ。私が死んでも今まで通りの家庭を築いてね。ってな。」