最初に彼を見かけたのは1年前。
そういえば、あの日も今日みたいに桜が綺麗だったなぁ。


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それは中学の卒業式を終え、友達との別れを惜しみ泣きながら家に帰る途中だった。

「みーちゃん。ちーちゃん。はーちゃん。うぅ…ぐすっ」
はたから見たらとても子供っぽかったことだろう。しかし、当時の私はそれほど別れが寂しかったのだ。しかも3人は都会の進学校に通うことが決まっており、頭のよろしくない私だけ地元の高校に通うことになっていた。


途中で大通りに出たため、涙でぐちゃぐちゃの顔を隠すようにうつむきながら歩いていた。
そのせいで信号が赤に変わったことにも気づかなかった。

ププーーーーッッ!!!

激しいクラクションの音で顔を上げると、ちょうど目の前を車が通り過ぎるところだった。状況を理解できさ

「大丈夫?」

急に話しかけられてビックリして振り向くとそこにはイケメンがいた。しかも、私の腕を掴んでいる。

もしかして………
今私のこと助けてくれたの…?

優しい!王子様みたいっ…
そう思ったのもつかの間、

「お前、死にてぇのか?!ちゃんと前見て歩け!」
王子様は私に怒鳴った。

ヒィィィッ!!怖い!怖すぎる!

こんなの王子様じゃないーー!

そう、私はあまりの恐怖にその場を逃げ出してしまったのである。