深見さんは、当時を思い出すような目をした。
 

「でも、時間が経っているでしょう。家族構成も、生活スタイルも変わっているし。どんな風になっているのかなって思いながら、今日は伺ったの。
 それが、こんなに保たれていて。丁寧に 大切に 生活されている事が よくわかります。とても嬉しいです。」と言ってくれた。
 

「あの時の私、こんな風に、何もかも揃えて頂いて生活する事が驚きで。お部屋、すごく素敵で。細部まで、気を配って頂いて。生活していて、不便に思ったこと、一度も無かったの。本当にありがとうございます。」

私は深見さんに、軽く頭を下げて続けた。
 
「それに、全部 センスが良くて。私の好みにも、ぴったりで。だから、何か買い足す時も なるべく同じ様な物を 選ぶようにしていました。」私は微笑んだ。
 
「とっても、うれしいわ。それに また声を掛けて頂いて。私こそ、ありがとうございます。」

深見さんも、温かく微笑んでくれた。