病院について病室に向かった
佐藤さんが部屋をノックした
ドアが開いた

「すみません…どうぞ」

母親が案内してくれた

俺達は病室に入った

そこには…
俺は絶句した…

頭に包帯をして顔にガーゼがしてあり
腕が骨折しているのか…固定してあった

佐藤さんが

「どうして⁇」

母親は切なく

「父親が帰って来て…
瞳が怯えてパニックになったんです…
それを見て父親が殴ったり、蹴ったり
殴られた勢いでテーブルにぶつかり頭を
打って意識がなくなったんです…」

母親は泣いていた

母親も顔にあざがある
たぶん母親は彼女を庇っていたのだろう

「お父さんはどうされましたか⁇」

「警察に連行されました…
私が通報しました…
瞳が殺されると思ったので…」

「そうでしたか…
ご連絡頂いてありがとうございました」

俺はただただ彼女を見ていた

「瞳が…瞳が…新田さんの名前を言ってたものでご迷惑を承知でご連絡しました…
瞳は新田さんに逢える事を毎日
楽しみにしていました
新田さんと一緒にした事…
いつも教えてくれて…毎日が楽しそうでした
そんな瞳を見て私も嬉しく思っていました
だから…」

そう言って母親は泣き崩れた
佐藤さんがそっと椅子に座らせた

俺は彼女の側に行き

「瞳ちゃん…」

声をかけた

涙が出てきた…
人の為に涙を流す事などなかった
彼女の姿を見たら…涙が止まらなかった
彼女の頬をそっと触れてみた
彼女の頬はほんのり温かった
何も言えない彼女がどんなに恐怖だったか
どんなに辛かったか…

俺は思った。彼女を守ろうと…
俺はある決意をした