本当に求めているモノ、欲しいモノは
愛情とは違うと思ったんだ。


手を差し出して
ポッカリ開いた穴を埋めてくれる優しい存在。


「アナタが求めているのは
 “寄り添ってくれる誰か”なんじゃないですか?
 寂しくて辛くて独りになりたくなかったときに
 偶然、大学時代の後輩と再会したから
 好きだと錯覚してしまっただけです。
 だからそれは
 俺への愛情ではないと思います」


冷たく突き放す言い方だとわかっている。

でもそれは
間違った気持ちのままは
幸せになんてなれないって
気づいてもらわないと意味がない。


「私…ジンくんへの“好き”は
 ちゃんと恋愛感情だよ?
 確かに久しぶりに会ったのに
 すぐ好きになるなんて信じられないかもしれないけれど…
 でも気持ちは本当。
 数年ぶりに会ったジンくん
 もっとカッコよくなっていて
 今もずっとドキドキしてるんだよ」


そう言ってマリカさんは
自分自身の心臓部分に手を当て目を閉じている。


参ったな…

言いくるめられて
それ以上返す言葉が見つからねぇ。