ソファに座り
ボーっと遠くを見つめる泉海さんは
やっぱりどこか様子がおかしい…


「絆創膏とか
 何か手当するモノはありますか?」


そう訊ねると
彼女はゆっくり腕を伸ばし
キッチンカウンターを指さすが
そこにあったモノに
アタシは思わず固まってしまった。


「何コレ…」


絆創膏や消毒液と一緒に入っていたのは
病院から処方されている
精神安定剤や睡眠薬の薬袋。

しかしどれも中身は
空のシートのみ。

それを見てすぐにピンときた。


「もしかして
 全部を一気に飲んだんじゃ…」


だから様子が変だったのかもしれない。

そう思った途端
薬物中毒の恐怖が頭を過る。


「泉海さんッ
 どうしてこんな事ッ」

「うん…」


彼女に薬袋を見せても
目を逸らしたが
あまり大きな反応を示さない。


「な…んで…」


聞きたい事はたくさんあるのに
気持ちが焦っているせいか
上手く言葉にならない。
それに怖さもあってか
持っている手も震えてくる。


「大丈夫よ、七星さん…」


脱力に似た状態で
アタシから薬袋を受け取すと
空になったシートを取り出した。