久しぶりに自分の部屋…
いや、今は初めての
”自分の部屋だった”場所に踏み入れる。

家具の配置
色合いが全部変わっていて
アタシが住んでいた空間とまるで違う。


「座ってちょっと待っててね」


言いながら
フラフラした足取りで
キッチンへと消えていく泉海さん。

明らかな不調なのは
顔色だけじゃないみたい。

本当に大丈夫なんだろうか…


「あの…
 すぐ戻るのでお構いなく…」


あんな状態の彼女に気を遣わせるワケにはいかないと思い
後を追ってついていったが
ちょうどその時―――


ガシャーン・・・


数枚の食器が割れる音と
床にへたりこむ泉海さんの姿が。


「大丈夫ですか!?」

「うん…
 驚かせてごめんね…」


駆け寄って声を掛けると
弱々しい返事は返ってきたものの
力が入らないのか
座り込んだまま立つ気配がない。

それに…


「ケガしてる…」


落とした拍子に食器の破片で切ってしまったのか
手の甲から少量の出血が見られる。


「泉海さん立てますか?
 ソファに移動しましょう」


小さく首を縦に振ったのを確認し
彼女の体を支えながら
なんとかリビングへと移動。