虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない

「私が王宮に入ったら、よろしくお願いしますね」

余程誇らしいのか、満面の笑みだ。

「そのようなことはあまり言わない方がいいのでは? まだ正式に決まった訳ではないのですから」

ユリアーネは気分を害したようで眉間にシワを寄せる。

「お父様は決定したも同然とおっしゃってました」

「でもあくまで候補でしょう? だいたいユリアーネが王家に嫁いだらベルヴァルト公爵家の跡
継ぎはどうするの?」

「その辺は心配無用です。お父様は親族から養子を迎えるそうですから」

「そう簡単にいくと思えないけど」

公爵が決めても、エルマが口出ししそうだし。

「さっきから否定的なことばかり言うけど、お姉様は私が王太子妃になるのに反対なのね」

「反対と言うより、無理だと思ってるの。だいたい私が国王に嫁いでいるのに、ユリアーネまで王家に入ったら他の貴族が不満に思うんじゃない?」

王家と関係を持ちたい貴族なんていっぱいいるだろうし。

「そういうことはお父様がしっかり考えています。それに国王陛下はもうお年で体の具合も優れないので近い内にランセル殿下に王位を譲るという噂です」

え……そんなこと、堂々と言っていいの? いくら周りに人がいないからと言ってよく王宮内でいつ誰に聞かれるか分からないのに。

ユリアーネって、実は浅はかなんじゃないのかな。

「お姉様は、私に王太子妃は務まらないと思ってるのね!」