虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない

貴婦人たちの席がある東屋は直接日差しが当たることはないけれど、外の気持ちの良い風が感じられる。

一番上座にエルマとユリアーネの姿が有った。

ふたり共かなり豪勢に着飾っていて一番目立つ。

私が近づくのに気付いた貴婦人たちが椅子から立ち上がった。

私は用意されていた自分の席の前にたち、今自分が出来る最大限堂々とした態度で皆を見渡す。

「皆さま、本日はお集り頂きありがとうございます。楽しんで行って下さいね」

私の言葉で、お茶会が始まった。それとなく周囲の様子を窺ってみる。

今日招待したのは、伯爵以上の家の夫人と令嬢達。皆社交会で顔見知りだからか、緊張している様子はない。

ただ私の席の近くはしらけた空気が漂っていた。一番近くがエルマたちなので無理もないのだけど。

しばらくすると、ユリアーネに声をかけられた。

「お姉様、国王陛下のお加減はいかがですか?」

お加減? どいういう意味だろう。返事に躊躇っていると更に言葉が続く。

「国王陛下のお出ましが無いのは体調がよろしくないからだと、お父様がおっしゃっていました」

ユリアーネの言葉に、他の貴婦人たちがあからさまではないけれど反応する。

どうやら皆、関心があるようだ。そして態度からユリアーネと同様の話を聞いているのだと分かる。