フランツ夫人に招待客の人物像について教えて貰いながら過ごし迎えたお茶会当日。
一応王妃の私からの招待ということで、欠席者はひとりもいない。
ちなみに、フランツ夫人の提案で国王にも声をかけたけれど、返事すらない。
ここまで姿が見えないと存在しているのか怪しく思うけれど、国王が姿を消したら騒ぎになるだろうし、ロウも実際会っている。
きっと私の見えないところで生活しているのだろう。
実は一度国王に会いに行ってみた。でも国王の私室に繋がる南側の一画は兵士が護衛で立っており立ち入り禁止で通して貰えなかった。
軽く論抗議してみたけれど効果はなく、一向に接触する機会を持てない。
本当に何を考えているのか謎。
「王妃様、どうかなさいましたか?」
考え込んでいると、心配そうなレオナの声が耳に届き視線を上げた。
正面の大きな鏡には空色のドレスを着た私が移っている。
「何でもないわ」
微笑んで答えると、レオナはそれ以上何も言わず結い上げた髪に真珠の髪飾りを飾ってくれた。
鏡の中には、華やかに着飾った王妃が映っている。
あとは私次第。しっかりと自分の存在を主張して、見捨てられた王妃だなんて言わせないようにしなくては。そして公爵家時代からの悪評は誤解だったと分からせてみせる!
フランツ夫人に付き添って貰い薔薇の庭園に向かう。
「皆さまもうお揃いのようですよ」
「ええ、教わった通りに頑張ります」
張り切って言うと、フランツ夫人は頼もしい笑みを見せてくれる。
天気は良く青空が広がり、薔薇の匂いに満ちた庭園は華やかに美しい。
手入れの行き届いた緑の芝。人工的な池のほとりを、美しい薔薇が飾っている。


