虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない

見た目より柔らかくて、口の中で溶けてしまいそう。

これ、凄く高級なステーキ肉みたい。

想像以上の美味しさに、フォークを動かす手が止まらなくなる。

正直ベルヴァルト公爵家の食事はそれ程美味しいと思わなかったんだけど、この料理は私の口に良くあってる。

公爵家を出たらまずはバルテルに行くのもいいかも。カレンベルク王国内だけど、都から遠そうだし、簡単に見つからないんじゃないかな。

「バルテルってどんな所なの?」

私と同じように勢いよくステーキを食べるロウに問いかける。

「生活も文化もこことはいろいろ違ってるな。容姿も少し違う。この辺りでは銀髪は目立つけどバルテルには沢山いる」

「そうなんだ」

そう言えば夜会でも銀髪の人をロウ以外に見かけなかった。エルマやユリアーネのような黒髪の方が多かった。

「同じ国なのに不思議ね」

「バルテルより北の地方は更に銀髪ばかりだそうだ」

「そうなんだ。他は?」

「都みたいに華やかではないな。辺境伯家は元々外敵から国を守るのが役割だから、城は機能的だ。大勢の騎士が訓練している姿を常に見かける」

結構物騒なところってこと? それはちょっとな……出来ればのんびりとした環境で生活したいんだけど。

「……なあ、なんでバルテルが気になるんだ?」

「え? いつか行ってみたいと思ったから」

「まさか、ひとりで行こうとか思ってないよな?」