虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない

「やっぱり知ってたか」

ロウが嬉しそうに言う。

「やっぱりって?」

「この地域ではあまり米を食べないだろ?」

「そうだね」

ベルヴァルト公爵家で出て来る食事は、毎回パンだ。

カレンベルク王国はヨーロッパ風の世界観だから、主食と言ったらパンの認識なんだろうと特に不思議には思っていなかった。

でもお米を恋しく思ってたんだよね。

「嬉しい。お米食べたかったんだ」

「バルテル料理の主食は基本的には米なんだ」

「へえ、ここはバルテル料理の店なんだ」

具体的にバルテル料理がどんなものかは知らないけれど、お米が主食なら期待出来る。

私も家でをする迄はこのお店に通おうかな。

「そう。米を知っているならバルテル料理は初めじゃないだろ?」

「初めてだよ。お米は知っているけど」

「叔母上に食べさせて貰わなかったのか?」

叔母上とはアリーセの母親のことだけど、どうなんだろう。

小説でもその辺の描写はなかったな。

「食べていたとしても、小さな頃のことだから。覚えていないな……」

「ああ、叔母上はリセが幼い頃に亡くなったんだもんな。悪い、無神経なこと聞いて」

粗野に見えたロウは意外にも、殊勝に頭を下げる。

アリーセを心配してくれているみたいだ。口は悪いけど良い人なのかもしれない。

「大丈夫。それよりも食事をしよう。冷めちゃうから」

鉄板に乗って来たお肉を一口サイズに切り口に運ぶ。