ユリアーネが口を挟んで来た。

「ええ」

「どうやったのですか? ローヴァイン様に近付くのは難しいと皆が言っていたのに」

彼が近づき難い? そんな感じはしなかったけど。結構気さくに向こうから話しかけて来たし。

「彼と私は従兄妹同士だから?」

他に思いつかなかったのでそう答えると、ユリアーネは不満そうに眉根を寄せた。

「そう……お姉様はバルテル辺境伯家の血を引いているのでしたわね」

ユリアーネはそれきり黙り込む。変わってエルマが口を開いた。

「ローヴァイン様とは距離を置くように。いくら親類だからと言って馴れ馴れしくするのは非常識です」

「馴れ馴れしくなど……」

どこをどう見ればそうなるの?

「あなたまさか、ローヴァイン様の妻の座を狙っているのはないでしょうね?」

私は驚き目を見開いた。

「まさか」

話が飛躍し過ぎている。

「あなたが辺境伯夫人など有り得ないわ、……あなた、アリーセの嫁ぎ先を早々に決めてください」

エルマは憎々し気に私を見ていた視線を公爵に向ける。今にも癇癪を起しそう。

別に怖いとは思わなかったけど、嫌な予感だけはひしひしと感じていた。