虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない

翌日。ランセルが突然私の部屋にやって来た。

マリアさんから何を言われたのか知らないけど、
妙に穏やかになっている。

明らかに態度が軟化した。

なんて単純なのかと呆れたけれど、余計なことは言わない。

彼の機嫌を良くしておいた方が、私にとって都合が良いからね。

ただ仲良くお茶を飲むなんてのは難しい。

彼の眉間にシワが寄っていなくても、なんだか気まずいと言うか……。

とはいえ、一緒にお茶を飲んでいるのに無言なのもね。

などと考えていたらランセルの方から話しかけて来た。


「マリアがあなたに好意を持ったようだ。結婚を応援すると言われ喜んでいた」

ランセルの顔がほんの少し、誤差ってレベルだけ傾いた。

もしかしてお礼をしているつもりなのかな。

「私もマリアさんを好きになりました。純粋で可愛い方ですね」

ランセルの表情は動かなかったけど首元がやや赤い。意外にも照れている?

意外と普通な所もあるんだな。そう思うと話しやすくなる。

「あの、前から聞きたかったのですが、なぜ初対面の時から私に敵意を持っていたんですか?」

「初対面?」

「夜会の時です」

まさか、忘れているの?