虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない

メラニーもレオナも姿が見えない。

静まり返った部屋で私は大きく息を吐いた。

予想もしていなかった事態に、なかなか動揺が収まらない。

国王が倒れ、私がその原因だとされるなんて。

一体どうしてこんなことになったのだろう。それにこれからどうなるの?

とにかく落ち着いて考えなくては。

居間の中央のソファーに腰を落とす。分からないことだらけだ。

国王は予告もなく広間に突然やって来て、そこでランセルに何か言うと、直ぐに元来た出入口から去って行った。

あの時、何を話していたのだろう。

叱責って言ってたから、ランセルのしでかした何かを注意しに来た?

そう言えばランセルは子爵令嬢マリアを連れて直ぐに後を追っていったけど、彼女はどうしたんだろう。

どこかに送って行ったにしても時間が短すぎる。

ランセルが国王の部屋に到着したのは、私の直ぐ後だもの。

国王の部屋に行く途中、私は誰ともすれ違わなかった。時間的にも忍び込んで何か出来るとは思えない。

かと言ってあんなに急に具合が悪くなるものなの?

あの時、国王は息をしていなかった気がしたけど、医師がなんとか蘇生させるのかな。

そこまで考えてはっとした。

もし回復しなかったら?

国王が亡くなる時期はまだ先のはずだけど、時系列はかなり変化している。

考えてみれば、今私が部屋に閉じ込められているこの状況は、アリーセが断罪される前の様子によく似ている。