カレンベルク王国で最も有名な女性は、第十五代王妃アリーセだ。 名門ベルヴァルト公爵家の長女として生を受け、十八歳で国王の後添えとなった彼女は、実家の権力を笠に着て我儘放題。 莫大な浪費を続け民を苦しめ国を傾けた。 希代の悪女と呼ばれた彼女は国王崩御直後に王太子によって地位を追われ、罪人として北の監獄に送られた。 しかし、その際何者かに襲われ若い命を落としてしまう。 そんな悲劇的な最期だと言うのに、彼女に同情する者はいなかった。 むしろ悪の王妃の死は、多くの民に歓迎されたのだ。