ノクターン


8月になったばかりの昼下がり。

私は店先の駐車スペースで 一人縄跳びをしていた。
 
グレーの乗用車が静かに入って来たので、縄跳びをやめて端に避ける。

運転席から降りた女性が店に入っていく。

子供の私が見ても別荘の人とわかる、きれいな身なりをしていた。
 


そして助手席から私より少し大きな男の子が降りてきた。
 
「縄跳びをしているの?」その男の子は人懐っこく声をかけてきた。
 
「うん。」
 
「二重飛びできる?」
 
「まだできないわ。できる?」
 
「貸して。」私が縄を手渡すと、男の子は上手に二重飛びをして見せた。
 
「すごい。上手ね。」
 
「教えてあげようか?」
 
「うん。教えて。」それが智くんと私の出会いだった。