待ち合せは、銀座のフルーツパーラーで。
約束の6時より少し前に着く。
中を見回す私に、お母様はすでに来ていて 小さく手を上げてくれた。
「お待たせして、すみません。」
私の表情は少し、硬くなっていた。
「こちらこそ。突然で、ごめんね。どうしても早めに 麻有ちゃんに話しておきたかったの。」
私は身構える。
「昨日の麻有ちゃんを見ていて、少し気になったのね。麻有ちゃん、智之との結婚、気後れしているでしょう。家柄とか気にして。」
「はい。反対されても仕方ないと思っていました。」
私の言葉にうなずいた後、優しい微笑みを浮かべて お母様は話しはじめた。