ノクターン


智くんが予約していたレストランは、タワーのホテルの上層階。

案内された窓際の席からは、横浜の夜景が見事に見えた。 
 

飲み物のオーダーに智くんは
 
「俺は車だから。麻有ちゃん、ワインでもどう?」

とメニューを差し出した。
 
「ありがとう。でも、私お酒苦手なの。」

そのままメニューを返す。
 
「本当?俺もお酒駄目なんだ。麻有ちゃん、酒豪じゃなくて良かった。」

と智くんは笑った。

智くんの笑顔は、私を切なくさせる。
 



美しい夜景を見ながらの、穏やかな会話と美味しい料理。


幸せ過ぎて怖くなるような時間だった。