「大丈夫です。僕も麻有ちゃんも、暮にたくさん賞与をもらったから。」と智くんが言ってくれる。
 


「だから いっぱい勉強しなさいって言ったんだよ。」

父が 笑いながら妹に言う。



それは 好意に甘えていいよと言う合図で。
 

「ここで そんな事言わなくても。」

と妹は 嬉しそうに笑う。



ゆっくり見た中で 妹は 一つのバッグを手に取る。
 

「それにする?美奈ちゃん。」私が聞くと
 

「本当に、いいの?お姉ちゃん。」

と妹は すがるような目で私を見た。

私達は 笑顔で頷く。
 

「やった。ありがとう。お兄さん、お姉ちゃん。」やっぱり妹は、調子がよい。
 


きれいにラッピングしてもらって 大切そうに受け取る妹に 私は少し涙汲む。
 

たった一人の妹なのに。

私は今まで 冷たい姉だったと思う。



妹は いつでも心を開いていたのに。

私が、近付けなかった。


『ごめんね。美奈ちゃん。』まだ 心の中でしか 言えないけれど。


これからは もっと仲良くしようね。




私の心の氷は また一つ溶けていく。