「車で来る、って言ってくれないから ずっと駅の方を探していたのに。」 長身の智くんを見上げて、少し拗ねてみる。 「びっくりした?」智くんはいたずらっぽく笑う。 「ひどいなあ。すごくびっくりしたよ。」 一瞬、子供の時の智くんが見えた。 「何か、昔もこうして歩いたね。」 智くんに心の内を見透かされたようなうれしさに、胸を震わせる。 「歩きながら、しりとりとかして。」 「そうそう、いつも麻有ちゃん 俺に勝てなくて 悔しがっていたなあ。」 「智くん、私の知らない恐竜の名前とか言うから。」