「それで、仮縫いの日は 土曜日に来て うちに一泊してもらえませんか?」


智くんが私の両親に 言ってくれる。

次の日曜日は ウエディングドレスの仮縫いだった。
 

「えー、嬉しい。」「そんな、迷惑は。」

妹の声と母の声が 重なった。


みんなで笑ってしまう。
 

「日帰りだと 慌ただしいから。都合がつくなら 泊まっていって。」私も言う。
 

「智くん、ありがとう。それじゃ お言葉に甘えさせて頂こうか。」

父が母を見る。

小さくガッツポーズをしている妹に みんなが笑う。
 


「じゃあ 土曜日の夕食は 俺達も参加しないとね。もちろん 仮縫いも行くけど。」

お兄様とお姉様は 笑顔で頷き合う。
 

「私、樹くんの面倒みますので。」妹が言うと
 

「俺達、便乗商法みたいだね。」とお兄様が妹に言う。



妹も巻き込んでもらえた優しさに 私はとても感動していた。
 


「はい。幸せのお裾分けってことで。」

妹は笑いながら言い その後で
 
「お姉ちゃん。ドレス、どんな感じ?」と聞く。
 


「写真見る?」

と私は妹にスマホを渡す。