翌日は、智くんに勧められて 入籍の日の 白いワンピースを着る。
 
「いいね。とても良く似合うよ。」

満足気な智くんの笑顔が嬉しい。


日焼けが 私を幼く見せて あどけない花嫁になっていた。
 


「ドレス、二人で決めたかったんじゃないの?」

智くんは、気を使って聞いてくれる。
 

「そんな事ないよ。大切な物だもの。みんなに見て頂いた方が 安心だよ。それに私 みんなといるの大好きだから。」
 
「ありがとう。」

と智くんは、私の頭を優しく撫でてくれた。
 

智くんの車で お父様とお母様を迎えに行き 私達は 青山のブライダルハウスに向かう。

お兄様達のマンションは、そこから近いからと お店で待ち合せてある。
 


「何か、懐かしいわ。あの頃の新鮮な気持ちを 思い出しちゃう。」

ベビーカーを押して歩いてきた お兄様とお姉様が言う。
 
「あの頃の沙織は、優しかったなあ。」お兄様の言葉に、
 
「ちょっと。今でも優しいわよ、私。」とお姉様が睨む。
 

「母は強し、って言うけど。最近の沙織、おふくろに似てきたよ。」


お兄様の言葉に、みんなで笑う。