8時過ぎに帰った智くんと、いつものように 温かく和やかな夕食。



智くんから、嬉しい報せを聞く。
 
「俺、昇進するよ。」智くんが言う。
 


「本当!」

私は、驚きと喜びで 歓声を上げる。
 

「正式な辞令は まだだけどね。今日、課長から内示があって。年明けから主任になるよ。」


智くんも、嬉しそうに言う。
 

「うそ。すごいよ、智くん。」

私は、少し涙ぐんでしまう。
 


「麻有ちゃんのおかげだよ。内助の功。ありがとうね。」

智くんは、優しく言う。
 


「やだ。私 何もしてないよ。甘えてばかりなのに。」

私は、涙を抑えられなくて。
 

「泣かないの。良い事なんだから。」
 
「だって、嬉しくて。」
 


「でも、本当だよ。麻有ちゃんと付き合ってから 仕事、すごく成果が上がっていて。俺って、やり手社員かもって思うくらい。」
 


「智くんの能力だよ。すごいよ。20代で主任なんて。しかも大手商社で。自慢の旦那様。」


涙を拭いながら 私は言う。
 

「麻有ちゃんに 可愛く甘えられると、力が湧いてくるんだ。俺、アンパンマンみたいでしょう。」


智くんは、テーブルの上で 私の手を握ってくれる。
 


私は、立ち上がって 智くんに抱き付く。


抱き締められて、また少し涙を流した。