日が暮れる前に 私達は 買い物に出た。

深見さんは 完璧に全てを整えてくれたので、私達が買う物は 食材と少しのアメニティだけですんだ。
 

新居で初めての夕食に、智くんはハンバーグと鶏のから揚げをリクエストした。


私が 智くんの為に初めて作った料理。

私達は 駅隣りの複合施設にあるスーパーに向かう。
 


マンションから駅までは、昔ながらの商店街が続く。
 

「これからは 仕事の帰りに、ここで買い物ができるね。」

二人、店先を覗きながら ゆっくり歩く。


私の心も ここでの生活が、夢でなく現実だという事を 徐々に受け止めていく。
 


マンションのキッチンは、アパートとは比較にならないくらい快適で。

料理は 手際よくできていく。
 


「麻有ちゃんの料理は ほんと、美味しいよ。」

と智くんは 気持ちよい食欲で食べてくれる。
 

「食洗機が付いているから お皿洗い、しなくていいんだよ。」

私が言うと
 

「そうなの。一緒に洗うの、楽しかったけどね。」

と智くんは笑った。