翌日は、智くんが 少し早めに仕事を終えて、初台のマンションに向かう。
大手町から乗る地下鉄は、意外と混んでいた。
智くんは、ドアの横で私を庇うように立つ。
混み合う車内で押される度に、私は智くんの胸に寄り添った。
マンションの前で、深見さんと会い 部屋に上がると 早くもクロスの張替えは 終わっていた。
前回 見た時よりも さらに部屋は明るくなっていた。
しかもお父様は この短期間でリビングに床暖房を設置して、フローリング交換まで完了させていた。
「素敵なお部屋ですね。北欧風のインテリアがぴったりだと思います。」
深見さんは部屋を見回して言う。
多分、予算に糸目を付けない仕事は 深見さんのやる気を駆り立てていたのだと思う。
「思い切り上質な家具を選んで下さい。家電も、最新のもので。」と智くんが言う。
「えっ、ダメです。普通のでお願いします。」
慌てて訂正する私に 深見さんは笑いながら
「とても可愛い奥様ですね。」と言ってくれた。
「はい。自慢です。」と答える智くん。
「どうも、ごちそう様です。」
と言って、私達は 和やかに笑った。
「毎日で申し訳ないのですが、明日の夜も お時間頂けますか。明日中にプランをまとめておきますので。」
「大丈夫です。明日でしたら、6時くらいには お会いできます。」
「でしたら、私どもの事務所の方に お出で頂けませんか。事務所でしたら、変更もすぐにできますし、発注の確認もできるので。」
「毎日、夜ばかりで 申し訳ありません。」
と私が言うと、智くんは
「父に、時間外割増を たくさん請求して下さいね。」と言った。


