生徒は夏休み!私は普段通り仕事!


7時に起きてご飯を作る。


あ、でも…


昨日残っているパンあるからそれ食べるか。


「さーくらちゃん」


「ヒャッ」


蓮斗が私を後ろから抱きしめながら言ってくる。


「なに作るの?」


「いや、昨日蓮斗が買ったパンあるから食べようかな…って」


「俺もそう考えてた。」


「蓮斗、ちょっと離れて動けない」


「はーい」


首にキスをして蓮斗は離れた。


私は2つのコップに牛乳を入れてテーブルに置き、パンを食べて学校に行く。


「咲良ちゃん、学校まで送って」


「部活?」


「でも、バレちゃダメだし」


「学校前の古い弁当屋あるじゃん、そこに送って、そこから歩くから」


「あーあそこなら誰にも見られないね、路地にあるから」


「うん、ありがとう咲良ちゃん」


そう言って蓮斗と私は一緒に学校に向かう。


「ここでね」


「じゃーね」


私は職員室に入る。


職員室に人がいない。


1年クラスには尾川先生と学年主任と副主任と市川先生と私だけ。


「おはようございます」


「「木崎先生、おはようございます」」


「あー、木崎先生お願いが」


「はい、なんでしょうか?」


「今度ある体育祭の名簿とプリントを作って欲しいんです。本当は市川先生に頼んでたんですけど、市川先生には部活に行ってもらわないと、それでお願いできるかしら?」


「勿論です」


「ありがとうね」


ニコッと笑う副主任。


勿論ですといいながらも正直嫌だった私。


仕事が増えるのは基本的に嫌だ。


でも、部活持ってないのは今のメンバーだと私だけだし仕方がない。


「すいません、木崎先生、でも名簿は紫組だけしてもらえればいいです、それ以外はしておきました。」


「いえいえ、これくらいすぐ終わるので、部活頑張ってください」


「ありがとうございます」


市川先生が体育館に行った。


名簿一つに体育祭のプリント。


午前中には終わるはず。


「副主任、これでよろしいですか?」


「さすが早いですね、木崎先生、ありがとう!」


丁度終わったのは12時。


昼ごはん食べないと。


でも、夏休み期間中は学食していないし、宅配も来ない。


近くのコンビニに行くしかない。


「咲良」


後ろを振り向いたら市川先生がいた。


「市川先生、お疲れ様です」


「俺のこと覚えてるだろ?」


「はい」


「なら、2人きりの時は夏来で頼む。市川先生って咲良から呼ばれると違和感しかない」


「すぐ慣れると思うけど」


「夏来、先生になってたんだ」


「そー、バスケの推薦で体育大学に行ってその後試験受けて合格した。」


「行かなかったんだ、プロの世界」


高校の時、夏来はバスケ界では知らない人はいないくらい有名だった。


1年から選抜で選ばれて、最優秀選手にも選ばれた。


みんながプロになれる、オリンピック選手に選ばれる、そう思っていた。


なのに


「俺はバスケ好きだったけど、プロまで行くつもりは元々なかったから。俺は最初から体育の先生になるつもりだった」


「知らなかった」


「誰にも言わなかったからな」


コンビニで飲み物、デザートのシュークリームを入れる。


「今日はおにぎりにしよ」


ずっとパンだったから。


「咲良、相変わらず甘党だな」


「夏来は相変わらずたくさん食べるね〜」


「顧問でも生徒と一緒に動くから」


「ほーう」


「じゃ、俺払うわ」


「え、えぇ!!」


ささっとレジに行って夏来は私の昼食代も払ってくれた。


「ありがとう」


「いいよ、別に」


「咲良、体育祭のやつ終わった?」


「やっておいた」


「ありがと、そのお礼だから」


「あ、うん」


「陽の川高校バスケ部上手いな」


「全国行ってますから〜」


「次の大きな大会は、新人戦か、優勝させてやる。」


「もう1ヶ月もないのに?」


「ビシバシ行くつもり」


夏来は相変わらずの情熱的。


やるとなったらとことんやるからな〜


これは練習ハードそう。


前の先生もハードだったらしい。


「頑張ってね」


「はいよ〜」


コンビニの袋を見たら、私が入れていないものが入ってた。


チーズケーキ…


たぶん夏来がわざと入れたんだ。


私チーズケーキ大好きだから。


夏来も知ってる。高校の時にチーズケーキ何回奢ってもらったか。


「夏来ありがと…」


そう呟いた。