ムカムカと苛立ちながら、階段を最後まで降りる。

「あ、菜花〜!んもう〜!ボーイフレンドできたなら言ってよね〜!」

「はぁ?!違うからっ!」

ボーイフレンド?!

ママのその言い方も鼻につくし、こんなやつが私の彼氏なわけないでしょうよ。

しかも夏目くん本人の前でやめていただきたい。

「おはよう、郁田さん」

私を見るなりそうフワッと笑った夏目くんは、いつもの制服と違って私服。

今時のおしゃれな男の子って服装で、私服だとさらに黄色い歓声を浴びせる女の子たちが増えるだろうと思った。

悔しいけど、顔がいいことは認めざるをえないんだ。

少し前までは私だって、夏目くんのこと超絶爽やかイケメンだと思っていたし。

「なんで夏目くんが私の家知ってるのよ!」

「ちょっと菜花、そんな言い方ないんじゃないの?せっかく菜花を心配して一緒に行ってくれるって言ってるんだから」

なんで私が悪いのよ。

どんな手を使ったのか知らないけど人の個人情報を許可なく聞く方がおかしいんじゃないの?