「あーあ、また腰抜かしちゃうかな?」

嘲笑うかのようにこちらを見下ろしたかと思うと、今度は私の足と足の間に、彼の足が入ってきた。

「っ、なにしてっ」

「ん?郁田さんがいつでもへたっていいように」

「ならないからっ、早く離してっ」

嫌でたまらないのに、私の気持ちとは裏腹に変に反応する自分の身体が憎くてたまらない。

「こんなになっててよく言うよ」

そう言った夏目くんの指先が私の耳たぶに触れた。

熱い。

自分の耳も、夏目くんの手も。

「ちょっとからかうつもりだけだったけど、郁田さん見てると我慢できなくちゃっちゃうな」

『イケナイね、バイト中なのに』
なんて笑ったその顔がさらにムカつく。

「どうする?お友達が来て見られちゃったら」

「っ、」

こんなところみんなに見られたりなんかしたら、ふしだらな女だって思われてしまう。

夏目くんとこんなところでこういうことをしているなんて、節操ないなんて思われるのもごめんだ。

「それとも、見られた方が燃え……」

「夏目──」