光莉をひとりにしなかったことで罪悪感は薄れたけれど、

でもそれならふたりで別のところに寄り道することだってできたはず。

なのに光莉はそれを頑なに拒んだから。

「なんでそんなに来たかったの?気まずいなら他のところふたりで行けたのに」

「はい?半額だよ?友達割引きで半額!しかもあの夏目涼々に友達認定してもらえる絶好のチャンスだよ?行かない方がおかしいでしょうが!」

「いや、まぁ、」

たしかに、バイトもせず親からもらうごくわずかなお小遣いだけで生活していかなければいけない私たちにとって、

こういう大きな割引きは非常にありがたいけれど……。

「どう?うちの新作パフェ」

っ!?

突然、名前通りの涼しい声が頭上からしたので顔をあげれば、

ニコッと爽やかスマイルを見せた夏目くんがいた。

でたな。
妖怪猫被り。