「お願い、郁田さん。郁田さんにしか頼める人がいないんだよ」
何をお願いされているのか、そんなこと知りたくない。
「意味わかんない。夏目くんには言い寄ってくる女の子たくさんいるでしょ!」
「俺は郁田さんがいいの、お願い」
私の手を掴んでいた手を今度は私の両肩に持ってきてしっかりと捉えてくる。
「っ、なんで私なのよ。……いるんでしょ、相手してくれる人……天井月子先輩、とか」
「……っ、」
思わずその名前を口にした瞬間、明らかに夏目くんの目の色が一瞬変わった。
動揺してる。
噂通り。
天井先輩って夏目くんにとって特別な人なんだってわかった。
「……そうだね」
少し黙っていた夏目くんが消えそうな声でそう言った。
やっぱり、夏目くんが相手をしてもらってる人って天井先輩だったんだ。



