保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。


「郁田さん」

来やがったな、爽やか仮面王子め。

彼はわかってるんだ。

みんなの前なら私が夏目くんに逆らえないってこと。

「あの、私用事があるから。その、友達と出かけ───」

「あー!そのことなら全然気にしないで菜花!プリなんていつでも撮れるんだしさ!それよりも夏目くんとの貴重な時間を大切に過ごしな!」

みなまでいうな、と言わんばかりに私に手のひらを見せつけて『ストップ』のポーズをした光莉がそういう。

いや、シンプルにありがた迷惑すぎるよ光莉!!

「えっと、あ、私、お使い頼まれてて……」

「じゃあ一緒に行こう」

「はっ……」

夏目くんのセリフに出す声が見つからなくなった私をよそに、クラスメイトの女子たちは『きゃー!』なんて騒いでいる。

いやいやいや。

君たち騙されているんだよ!!

そんなことをここで言ったって私が変人扱いされるだけに決まってる。

みんなが夏目くんへ向ける眼差しを見ればそんなこと容易に想像できてしまうから。

「じゃ、行こっか」

「ちょっ、」

彼に手を掴まれて、私は諦めて夏目くんに連れられるがまま、教室を後にした。